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No.277

援護協会事業の充実に向けて

年末のご寄付をよろしくお願いします。

             理事長 石渡 博明

 本誌前号でご紹介しました、この秋に来日した留学希望生3人は、舟橋記念会館での入学前研修を順調にこなして日本語力や生活力は確実に上昇、食事についても寮母さんが口を揃えて喜んでくださっていますように、出されたものは残らず平らげ、ほとんど病気もなく仲よく毎日を過ごし、日本の生活に着実に慣れていってくれています。

 とは言え、この原稿を書いている時点(11月末)では、モンゴルのラグワさんが筑波大附属盲学校の推薦入試に合格し、来年4月からの進学先が決まったものの、モンゴルのバヤルさん、ミャンマーのコーコーさんは、あいにく進学先が未定で、辛い思いの毎日を余儀なくされています。事務局としては、3年前のウズベキスタンのサーシャさんの轍を踏まないよう、進学先確保に向けて各方面に打診中ですが、事務局の力不足だけではなく、援護協会の制度的な欠陥が露呈したものとして、当座の進学先を確保しながらも、長期的なスパンでの制度の改善に向けて関係各方面と協議中です。

 そうした中、いくつか朗報もありました。音響機器メーカーのオンキョー株式会社さんが主催する世界点字作文コンクールでは、WBU-AP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)の最優秀賞・オーツキ賞を今年度留学希望生のお一人、モンゴルのバヤルさんが受賞、また日本国内部門の佳作賞には元IAVI留学生で、現在、長崎県立盲学校教員の中国の蔡云(ツァイ・ユン)さんが選ばれました。またこの間、援護協会と手を携えながら、モンゴルやキルギスの視覚障害者支援をなさってきています岡山ライトハウス理事長の竹内昌彦さんが、ヤマト福祉財団主催の小倉昌男賞、第10回塙保己一賞の大賞を受賞されました。会員・読者の皆様方にご報告しますとともに、この場をお借りして、皆でお祝いしたいと思います。

また12月1日からは東京都国際交流委員会サイト『れすぱす』クローズアップ12月号(http://www.tokyo-icc.jp/lespace/close/close_1612.html)に、援護協会の紹介記事が掲載されましたので、ぜひご活用ください。

さて、毎度のこと、また経済状態の悪い中で誠に恐縮ですが、今年も年末のご寄付をお願いする季節になりました。振り込み用紙を同封いたしますので、ご支援のほどをよろしくお願いいたします。

 手前味噌になるかもしれませんが、援護協会はこの間、内外での認知度がアップ、各方面からの評価も上がってきています。そうした実績を基に来年度からは、帰国後の仕事や活動に直接役に立つ、盲学校卒業後の短期研修を多くの関係者の皆様方のご協力により、ぜひ実施していきたいと考えております。そうした新規事業の展開のためにも、強力なお力添えを賜りますよう、よろしくお願いいたします。

新留学生です。よろしくお願いします

11月の終りに3人の新留学生に自己紹介の文章を書いてもらいました。バヤルさんは漢字仮名交じりで書いたものをメールで送ってくれました。また、ラグワさんとコーコーさんは点字で書いてくれたものを事務局で墨字にしました。3人共に基本的にきちんとした文を書いてくれていました。2ヶ月足らずですが、びっくりするほどの上達ぶりです。

                                           

≪初めて海を見ました≫  ジャムスラン・ラグワドラム (モンゴル)

 初めまして。私の名前はジャムスラン ラグワドルムです。日本でラグワと呼ばれています。今29歳です。日本に今年の9月の28日にモンゴルから来ました。私の趣味は泳ぐことと歌を歌うことです。

 日本に来た目的は鍼灸マッサージを習って自分の技術を磨くことです。私の将来の夢はとても上手な鍼灸師になることです。

 私は日本に来てもう2か月になっています。日本は私の国と随分違いので、びっくりしたことや経験になったことも多いです。例えば、料理、電車、海、交通も違いです。私の国に電車がありません。バスだけ使います。日本の電車がとても便利で、時間どおりに来るのでびっくりしました。また日本の料理の味は甘いですが、とても美味しいです。

 もう一つ一番心に残っているのは島へ行ったことです。ある日石渡さんが私たちを東京の近くにある猿島へ連れて行ってくれました。私は初めて海を見ました。その島の木がとてもきれいで、海の波の音が聞こえて気持ちがよかったです。また是非島へ行きたいと思っています。

≪好きな国で勉強してとてもうれしい≫  エルデネサンブー・デルゲルバヤル (モンゴル)

私の名前はデルゲルバヤルです。いま27歳です。私は初めて2002年に1週間ぐらい日本へ行ってきました。そして視覚障害者の人たちのための図書館を見てびっくりしました。私の興味は読書ですから、その点字の本がたくさんあるところに住みたいと思っていました。それからその図書館と同じものを国で作ろうと思いました。国へ帰る前に、初めて東京ディズニーランドも見ました。その時「モンゴルの子供たちは好きな本を読みたいと思っている時代に、日本の人たちはもう点字図書館を作って、今かわいいゲームで遊んでいますね」と思っていました。日本へ来る前に、私は「一つ屋根の下」という映画をモンゴル語で見て、その映画の歌も好きになりました。日本に来るとき、その歌もたくさん聞こえていました。

私は国に帰ってちょっと日本語を勉強しました。でも、その時視覚障害者の人たちは英語についてパソコンを使っていると聞きました。パソコンを習うのは私の夢ですから、私は日本語の勉強をストップして英語の勉強を始めました。英語を教えてくれる人は一人だけしかいませんですけど、私はパソコンが大好きですから暇なとき、いろいろな英語の歌を聴いたり、映画を見たり、英語のラジオを聴いたりしていました。でも、盲学校を卒業するとき、私の英語はまだまだでした。ですから私は英語の大学に入りました。

大学で勉強しているとき、私は、インターネットでいろいろ調べて、日本の筑波技術大学が全盲の人にとって、パソコンのプログラムの言語を教えてくれる一番いい学校だとわかりました。それから初めに勉強していた日本語を勉強して、援護協会の支援で日本に来ました。私は日本の歌も好きだし、料理も好きだし、それに、日本の習慣も好きですから好きな国で勉強してとてもうれしいです。日本人はとても親切だし、優しいし、それで日本にいろいろないい習慣がありますから私は死ぬまで日本に住みたいです。でも、国へ帰って、習ったことを教えなければなりませんですから、私は大学でよく勉強して、国へ帰って、次の視覚障碍者の人たちに習ったことを教えます。パソコンだけでなく日本の習慣も教えます。日本の料理はとてもおいしいですから私は毎日よく食べています。日本語の先生たちは優しいですから勉強も毎日楽しいです。私は日本語だけじゃなくていろいろな日本の歌を習いたいですから、もう初めの歌の歌詞を覚えています。モンゴルじゃなくて、外国の国のアクセシビリティー、そして人たちも日本人と同じように親切のだったらいいねと思っています。どうぞ、よろしくお願いします。

≪鍼灸とマッサージが上手な人になりたい≫ トゥ・コーコー (ミャンマー)

 私の名前はコーコーです。ミャンマーから来ました。私の目的は日本の鍼灸とマッサージを勉強することです。それからミャンマーへ帰って盲学校で教えるつもりです。私は25歳です。家族は3人です。私と母と妹です。私だけ全盲です。私の夢はいつか鍼灸とマッサージについて上手な人になりたいです。

 ミャンマーでは視覚障害者が一人で生活するのは不便です。なぜならば、ミャンマーにはいろいろな点字ブロックとか、音が出る信号がないです。日本にはいろいろな点字ブロックがあるし、音が出る信号もありますから視覚障害者のためにとても便利だと思います。 でもミャンマーもいつかは日本みたいになると思います。

≪日本で見つけた新しい世界≫  ?前号よりの続き?  イ ナヨン(韓国)

そのように貴重な経験をさせていただき、日本の良い点にたくさん気づきました。その中で四つの印象的なことについて書いてみます。

一つ目は、視覚障害者が手で触って楽しめる博物館や美術館が多いことです。普段、視覚障害者にとっての博物館のイメージは、冷たいガラスの壁にすぎません。どんなに説明を聞いても、ガラスの中は未知の世界です。日本に来て、初めてその世界に手が届きました。盛岡の「手で見る博物館」では、深海の魚から世界中の遺跡まで、ないものがないほどでした。私が知らなかった世の中のものがこんなにたくさんあったのかとびっくりしましたし、ますますそれらがわかってくる喜びで涙が出そうでした。大阪の民族博物館では、各大陸の国々の過去と現在が体験できました。数百年前の韓国の居酒屋さんと家庭の台所が再現されていて、非常に面白かったです。それから、砂漠のらくだの鳴き声を聞いたこと、日本の昔話を北海道から沖縄までの全国の方言で聞いてみたこと、世界中の言語を聞いて点字を読んでみたことなど、本当に新しい世界が開けたようでした。この博物館の全体を見るには、何日もかかるそうです。いつかここで小さな世界一周をしてみたいです。それ以外にも、古今東西の楽器と遊べる浜松の楽器博物館、色とりどりの石や岩石、地層、標本、動物のはく製などに触れられる小田原の地球博物館、いろんな彫刻品と絵が触れる六甲山の上美術館など、感動のあふれるところがたくさんありました。

二つ目は、街や駅の中に改札の音、分かりやすくつくってある点字ブロックなど、視覚障害者に役立つ設備がよく備わっていたことです。

三つめは、どこに行ってもおいしいものを食べられることです。どこでもありそうなお店に入って、普通に見えるメニューを注文すると、ここでしか食べられない独特でおいしいものが出てきます。援護協会の周りにも、そんなラーメン屋さんやうどん屋さん、とんかつ屋さん、パン屋さんがあります。

四つ目は同じ日本でも、地域によって明らかに違う特徴があることです。盛岡、静岡、京都、大阪に行くと、東京とは違う雰囲気と食べ物、お土産が私を待っていました。これからも日本のあちこちに行って、多様な日本を満喫したいです。

6週間の語学研修は、私のために時間を惜しまず尽力してくださった皆様のおかげで、本当に意味深い時間でした。その後も時々援護協会に泊まって、留学生たちと交流しています。外国で難しい勉強をするのは大変なことですが、お互いに助け合って努力している彼らを見ると、私も励まされます。私にもイギリスに留学する予定があるので、勇気をもらっています。

日本語を話せるようになったことで、私の人生には大きな発展がありました。日本という国を旅行者の立場よりもっと深く理解して、思い切り楽しむことができました。さらに、多様な分野で仕事をしている人や、日本に住んでいる外国人ともお話ができて前向きな影響を受けたり、有益な情報も得られました。

もっとも嬉しかったのは、第3回日韓視覚障害教師の交流会で通訳の一員になれたことです。好きなことに熱心に取り組んで重要な役割を引き受けられて、私の心は充実感で満たされました。

日本での生活は、私が本当の自分に出会う絶好の機会でした。心の温かい人々とワクワクする経験のおかげで、自分でもこんなに明るくなれるのかと驚くほど、エネルギーに満ちた私でいられました。

私に前向きな気持ちと幸せをもたらしてくださった皆様に、心から感謝しています。

 

たくさんの課題の中で、センスリヤンさん 特別支援学校での仕事開始

前月号で、ラオスのセンスリヤンさんの様子が紹介されていました。盲学校の先生の仕事はいつから始まるのかと、毎日気になっていたので、以前つながったLINEにメッセージを送っていました。そうすると懐かしい音声メッセージが入っていました。以下の内容でした。

「11月21日からルオンプロバン県の特殊教育学校にいます。生徒さんはまだいないです。まず私が、生徒さんが来るまでに準備をしなければなりません。しかし勉強に必要な点字版など全くなく、このままでは教えることができません。点字版などどこに頼んだら良いのか考えています。」

 センさんは大変気持ちの優しい人で、正義感も強い人という印象があります。平塚のアパートに引越しをした日、私たちにお茶を入れてくれたのがすごくうれしかったことを覚えています。センさんと継続的につながっていき、彼の仕事に役立ち、彼が日本で得たものを実践できるように、支援していければと思います。   (事務局 新井)

第2回清水地域「地域活動見本市」へ ぜひお出でください!

―留学生による点字体験で、地域の皆さんと交流します―

地域での助け合い・支え合いをテーマに開催されます。

援護協会としても、このつながりに積極的に参加しています。地域との関わりは、視覚障害留学生の存在を知っていただき、災害時に地域の力で支援していただきたいということでした。そして、それをベースにしながらも、私たちが、視覚障害者に優しい地域、多様性を認め合う地域、そんな街づくりにも役割を果たしたいと思います。

「援護協会は地域の大切な資源だ」とお話ししてくださる方もいらっしゃいます。この言葉の意味をしっかりと受け止めて、今回のイベントにも参加します。

当日は、3人の留学生が、地域の多くの皆さんとお話しながら、みなさんに点字を書く体験をしていただきます。そして、モンゴルや、ミャンマーについての楽しいお話もたくさんします。視覚障害者への理解と、国際交流という私たちの二つのテーマを地域から実践します。ぜひ、お手伝いをお願いします。

日時:2月25日(土) 11時?15時

会場:まなぽーと大原(旧大原社会教育会館) (援護協会から歩いて5分の場所になります)

お手伝いいただける方を募集します。事務局までご連絡ください。

≪2017年新年会のお知らせ≫

日ごろご支援いただいている皆様との楽しい時間を!

新年を留学生の皆さんと楽しく過ごしましょう。

今年は、援護協会近くの清水地域センターで開催します。ぜひ、お知り合いをお誘いのうえご参加ください。

日時:2017年1月15日(日) 12時から15時(11時30分から受付開始)

場所:清水地域センター:板橋区泉町16?16

都営三田線本蓮沼駅 A4出口 徒歩4分

※11時30分に本蓮沼駅A4出口改札口に集合。

電話:03?3969?7564

会費:4000円

参加のお申し込み:1月10日(火)までに以下へお願いします。

国際視覚障害者援護協会事務局: e-mail:info@iavi.jp     電話:03-5392-4002

モンゴルのスリッパを販売しています

今年も寒い冬の到来。援護協会では、モンゴル盲人協会のフェルト工場で制作された100%ウールの手作りスリッパを販売しています。モンゴルではマイナス40度にもなる中で、さすが温かいスリッパです。

一足3000円です。お問い合わせは、援護協会事務局まで。

≪編集後記≫

舟橋会館は毎日、3人の留学生の明るい声が響き渡っています。「みんな何でもよく食べてくれるので、作り甲斐がある」とは、寮母さん達の共通の言葉。またみんな歌が大好きで、新年会では歌と音楽の交流の時間も作りたいと思います。新年会は、広い会場を思い通りに使えます。たくさんの交流が可能ですし、イベントでの展示品などもぜひ見ていただきたいと思います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

視覚障害者のための取扱説明書の設計指針作成に向けて、家電製品の取扱説明書に関するインタビュー調査に援護協会として協力しましたが、結果がまとめられて発表されました。また、11月19日の連続講演会では、共用品について留学生のみなさんも積極的に話し合いに参加できました。今後とも、継続して考えていきたいテーマであることをみんなで確認できました。

いま、3人の留学生達は、来年の4月からの進路に向けて懸命に勉強をしておりますが、私どもは多くの皆様のお力を得て支援の輪を作り上げねばなりません。今後、HP等、色々な方法を駆使して、さまざまなお願いをさせていただきます。「繋がりは力」です。どうか、幅広いご支援をお願いいたします。(愛)

= 業務日誌 =

10月  4日 ラグワさん、コーコーさん、筑波大附属盲で教育相談。

10月  6日 板橋福祉事務所で事務手続き。

10月12日 舟橋記念会館で新留学生歓迎会。

10月20日 『ロータス通信』第276号を発送。

        おたがいさまネット月例会で新留学生が挨拶。

10月22日 外谷さんご夫妻来館、バヤルさんに理系の点字指導。

10月26日 バヤルさん、筑波技大で教育相談。

10月28日 第2回清水地域活動見本市、実行委員会に参加。

10月29・30日 神保町ブックフェスタに出展。

10月30日 卒後鍼灸手技研究会の事務を担当。

10月31日 日本学生支援機構・東京日本語教育センターを訪問。

11月 1日 ラグワさん、コーコーさん、筑波盲推薦入試を受験。

       マンダハさん、サイト・ワールドで講演。

11月 2日 東京都国際交流委員会関係者3名、来館・取材。

11月 3日 留学生3名、サイト・ワールドを見学。

11月 4日 筑波附属盲、推薦入試結果発表(ラグワさん合格)。

11月 5日 バヤルさん、筑波技大受験願書を提出。

11月 9日 日本盲人福祉委員会・丸山事務局長、来館・懇談。

11月10日 板橋社会福祉大会に出展。留学生3名、参観。

11月11日 コーコーさん、埼玉盲で教育相談。

11月12日 留学生3名、競い合い助け合うコンサートを鑑賞。

11月16日 日本盲人福祉委員会を訪問、竹下会長と面談。

11月17日 コーコーさん、平塚盲で教育相談。

11月19日 バヤルさん、筑波技大情報処理科を受験。

       連続講座「共用品について」を開催。

11月24?28日 庄さん、安徽省安慶市および上海市で講演。

11月26日 ミャンマー祭りを見学。

11月27日 梅原先生の紹介・引率で、南蔵院のお茶会を体験。

卒後鍼灸手技研究会の事務を担当。

12月 1日 東京都国際交流委員会のHPにIAVI紹介記事掲載。

12月1・2日 日盲社協点字出版部会研修会(佐賀)に参加。

12月3・4日 いたばし障害者週間に出展、参加。

12月4?6日 関西・広島研修旅行を実施。

12月 7日 新井理事、障害者週間・読書権セミナーで講演。

12月 9日 徳丸芸能祭に参加。

       竹内昌彦さんの表彰式(ヤマト福祉財団)に出席。