ロータス通信

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NO.254

2013?2?7

卒業、入学、進級の季節に    

理事長 石渡 博明

 本誌前号では年末の選挙に触れ、新年こそ新たな思いで臨めるよう期待しましたが、あいにく東日本大地震―大津波、福島原発被害の教訓は生かされなかったもののようです。
 とは言え、留学生の日常は日々確実に刻まれ、卒業、入学、進級の季節を迎えることになりました。ベトナムのコアさん、インドネシアのヨフィタさんは、晴れて筑波大学附属視覚特別支援学校の門をくぐります。  
一方、ラオスのセンスリヤンさん、インドネシアのマリアさん、モンゴルのマンダハさんはめでたく卒業し、帰国の途に就きます。
 また、モンゴルの元留学生ガンゾリクさんは、より高度な知識・技能を求めて筑波技術大学大学院入学のため、又、ベトナムのソンさんは念願の盲学校建設に向けて特別支援教育を一から学ぶため、広島大学の研究生になるべくこの3月末に再来日します。
援護協会の輪が広がっていくよう、皆で応援していきたいものです。
 

≪日本、キルギスの視覚障がい者の架け橋に≫    

JICAシニア海外ボランティア  松田 信治 

JICAシニア海外ボランティアとしてキルギスに来て、1年11か月が過ぎました。あと残り20日間です。私がこちらに来る前、3年間、国際視覚障害者援護協会で働きましたが、ここでの活動は1991年ソビエト崩壊後独立し、社会福祉行政が大きく立ち遅れているキルギスの視覚障がい者と向き合う活動でした。今、キルギスに来て本当に良かったと思っています。来る前はこの国の名前すら知りませんでした。
何か治安が不安定な危ない国と言う印象を持ちながらも、来てみるとキルギス人の温かな人柄に多く接し、日本人と変わらない顔つきのキルギス人に親しみを感じました。
「私がこの国の視覚障がい者に出来ることは何だろうか?」と来た当初は悩みました。それでも私の得意な「走る」ことを中心に「伴走サークルの立ち上げ」「盲人卓球を盲学校へ紹介」「日本語教室、折り紙、習字」と活動を広げる中で、日本では当たり前になっている視覚障がい者の「デイジー図書」をキルギスで始めようとJICAにデイジー録音再生機の購入を申請しました(プレックストークという機器を6台購入)。
その後、5年前にダスキンの研修生として来日し、代々木公園で伴走をしたカザフスタンの視覚障がい者ファルハット氏に電話をしました。そこで4年前にデイジー図書普及を始めていたカザフの障がい者グループ「ジゲル」の協力を得て、キルギスの視覚障がい者5人がデイジー編集の技術習得を行いました。そして、これまでに3冊のデイジー図書が完成し、ビシュケクの点字図書館がその貸出業務を行っています。
この2年間のボランティア活動で「心に残るもの」を2つ紹介いたします。まず、「視覚障がい者スキーヤー、アンドレイさんの支援」で、日本の多くの走る仲間が寄付という形で彼のパラリンピック出場の夢を叶えてあげようと支援してくれました。私も夏の暑い3か月、ビシュケク市内を1400キロ走り切る目標を立てて走りました。集まったお金は14万円。支援していただいた走る仲間に心からお礼を申し上げます。 
その後、その彼への支援がきっかけで、キルギスの視覚障がい者の活動(読書、スポーツ、音楽、芸術)を支援する「キヤル基金」(キヤルはキルギス語で「夢」を表します)を日本で立ち上げ、その支援先として「キヤルケチ基金」をキルギスで立ち上げました。

次は「盲ろう者、スベータさんの支援」で、彼女の希望する「点字ディスプレイ」を東京大学教授の同じ盲ろう者、「福島智さん」より寄贈していただいたことです。
「盲ろう者支援」はJICAの前任者のSさんから引き継ぎ、254-1.JPGこの2年間、毎週木曜日1時半から点字図書館にて、彼女を支援する視覚障がい者5人と行ってきました(Sさんはこの集まりを「ひと時の幸せ」と名づけました)。そんな彼女の外部とのコミュニケーション手段はコンピュータに接続した「点字ディスプレイ」です。高額なため家族で買うことができず、日本の団体からの寄贈を望んでいました。その夢を「福島智さん」が叶えてくれました。嬉しい限りです。
そして今、思うことは協会の新井さんが言われた言葉「キルギスにとことん拘って今後も活動したら?」です。この半年前には「帰国後はチャンスがあればもう一度、JICAのボランティアとして他国で働いてみたい」と思っていましたが、今は彼の言う「とことん拘る」生き方がしてみたいと思っています。
それは「キヤル基金」をベースとしたキルギス視覚障がい者に対する支援です。この2年間で蒔いた種が木となって実を結ぶまで見届けるのが、お世話になったキルギスの仲間への恩返しではないかと今、感じています。

インドネシア・点字会財団の活動にご支援を!
                
                アグス・ピトヨ

インドネシアの元留学生アグス・ピトヨさん(1997年3月宮城県立盲学校卒業)から昨年末、2通の点字のレターがあり墨字におこしました。一部直しています(編集担当)。
ジャカルタは、毎日雨が降りますが、東京はいかがですか?
ご無沙汰いたしておりますが、理事長とスタッフの皆様はお元気でお過ごしでしょうか?
私は、国際視覚障害者援護協会のおかげで、帰国してからは2、3回ほど日本に行ったり来たりしました。音楽祭のために私は日本語の通訳とキーボードを弾いて、日本へ行きました。
さて、次は点字会財団のことについて話をします。2007年8月17日、ちょうどインドネシアの独立記念日と同日に点字会財団が誕生しました。目的はインドネシアの視覚障害者が自立ができることと、穏やかな生活ができるようになるために積極的にがんばることです。
業務は
1.日本語を教えることです。
今、日本にいるインドネシアの二人の留学生は、私達の財団ががん
ばりました。特にプトゥルさんが教えた日本語のおかげだったのです。
2.マッサージを教えることです。
3.障害者関係のセミナーを行うことです。
4.日本語の通訳と翻訳をすることです。
5.外交関係を通訳することです。
6.障害者の困ったことを助けることです。
例えば、先月に、視覚障害者が交通事故に遭って、足が不自由になった。それから、私達は会社に「車椅子が欲しいです」という念願書を書いて、その車椅子をもらってからすぐその人に渡しました。
今、大きな問題というのは、法律的には財団といえない。定款などいろいろな書類がまだ揃ってないんです。その定款といろんな書類の手続きのための料金は1500万ルピアです。その定款やいろんな必要な書類がなければ、財団としては国から認めてもらうことができないです。そのために皆様のご援助をしていただきたいんです。
 以上で財団の紹介を終わりにさせていただきますが、ご質問がある方は電話やEメールでどうぞお尋ねして下さい。
一人でも多くインドネシアの視覚障害者が自立できるようにすることがこの財団の主な業務の目的です。そのために財団の活動を続けなければならないんです。だから、この機会で理事長さんはじめ理事の皆様と会員の皆様に是非ご協力とご支援と応援を心より深く念願しております。
いくら難しさがあっても、どのぐらい厚い壁が邪魔になっても、「一寸先は光」と言う言葉が私達の胸に常にあります。
最後になりましたが理事長さんはじめ理事の皆様と国際視覚障害者援護協会の会員の皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
願わくば皆様の豊な心に私達の願いを叶うようによろしくお願いします。さようなら。
点字会財団の設立委員代表はアグス・ピトヨ、他の設立委員は、プトゥル・ウィウォホ、デディ、アルハニ 以上で 4人です。
(この下が私のEメールです)
Email:aguspitoyo.ap68@yahoo.com
(プトゥル・ウィウォホさんは、2003年3月に東京都立文京盲学校を卒業、現在、バンドゥン盲学校の先生をしています)


≪通訳で頑張ったそうです≫
― 日本と台湾の盲学校の姉妹校締結で活躍 ―

                     理事 新井 愛一郎


昨年末から、帰国した元留学生達に、「日本語それだけ覚えているのだから、また日本語勉強すればどうかな?具体的な目標として、日本語能力検定を受けるといいよ。できるだけ協力するから」という話をしていました。
そんな折、台湾の謝(シェ)君より電話があった。珍しくウイークデーの午前中。それも学校から。Skypeではたまに話すが、こんな時間なのでびっくりしました。
「広島の盲学校とうちの学校が姉妹校になるので、そのための調印式に日本から先生が来ます。歓迎のあいさつの表現はどのようにしたらよいのか」というものでした。
後で聞いてみると、その日(1月10日)に、彼が理療の先生を務める台北市立啓明学校と姉妹校提携調印式を行うために、広島県立広島中央特別支援学校の先生3人が訪問して、二日間その通訳を全面的に行ったそうである。その大役はきちんとこなせたそうであるが、「意味はわかるのだが、日本語の細かな表現が正しいものかどうかがよくわからない」ということで大分苦労もしたようでした。
帰国して20年経つのだから仕方ないことですね。今度は、彼が台湾の先生を連れて広島に来て、通訳をすることでしょう。
 台湾でも日本語のできる視覚障害者はそんなにはいない。その国の視覚障害者に日本語を教えて日本との交流を進めるけん引役にぜひ彼らになってほしいし、必ずなれると確信します。Skypeを使って彼らと日本語の勉強を一緒にしていただける方が、ぜひ声をあげてくれるとうれしいです。

◎IAVI新年会を開催◎
―インドネシア料理を食べながら、楽しく歓談―

 
1月19日新宿のインドネシアレストランで、2013年IAVI新年会が42人の皆様のご参加で楽しく開催されました。
学生達の歌やオークションなど楽しい企画で盛り上がり254-2.JPGましたが、何より美味しい料理と、楽
しい歓談の輪が方々にでききていたことが、なに
より素敵なことでした。駅から遠くてご苦労でした。

 

 

 

 

 


≪地域の防災訓練に参加≫

― 減災・防災には地域の繋がりが ―
                
2月3日午前9時、地域の皆さんが援護協会の前254-3.JPGに集りました。  
視覚障害者の手引きの仕方などをお話した後、実際に手引きを受けながら、避難訓練として消防署の方と一緒にコアさん、ヨフィタさんと私達事務局メンバーは、避難場所でもある会場の志村第三小へ。
保育園の子供達や親御さん、地域の皆さん約300人近くの皆さんと一緒に地震による火事の広がりを明らかにしたDVDを見たり、防災に関する学習、消火の仕方や避難所について体験をしました。
最後は温かな豚汁をごちそうになり、午後は消火器の場所や、危険箇所などを点検しながらみんなで地域を歩きました。

 減災・防災には地域の繋がりがなにより大切。これからもこのような訓練を大切にしていきたいというのが皆さんの共通の感想でした。
 私達の活動を地域の皆さんに知っていただきながら、更に、地域の一員として活動をしていきたいと思います。

≪連続講演会 日本とアジアの視覚障害者事情≫第2期・第3回


日時:2013年3月2日(土) 13:30?15:30
内容:「WBUAP:アジア太平洋の視覚障害者団体ネットワーク」
講師:田畑美智子 WBUAP(世界盲人連合アジア太平洋地域協議会)
会長/日本盲人会連合国際委員/当会評議員
場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋会館」3F 多目的室  
(板橋区蓮沼町20?18 都営三田線「本蓮沼」駅A1出口
下車徒歩3分)
定員:30名(定員になり次第締め切ります。お申し込みは、お電話
または e-mailにてお願いします)
連絡先:03?5392?4002/ e-mail:info@iavi.jp
会費:無料
主催:社会福祉法人 国際視覚障害者援護協会
後援:社会福祉法人 板橋区社会福祉協議会

◎歓送会のお知らせ
今年度は、センスリヤンさん、マリアさん、マンダハさんの3人が盲学校を卒業します。次のステップに旅立っていく3人をみんなで励まして送り出しましょう。
日時:3月30日(土)11時?14時
場所:国際視覚障害者援護協会「舟橋会館」3F 多目的室
会費:1000円
お申し込み:電話かメールで3月25日までにお願いいたします。
連絡先:03?5392?4002/ e-mail:info@iavi.jp

= 編集後記 =

東京も「大雪」。昨年は雪だるま作りに大喜びでしたが、今年の新留学生二人は「寒い寒い」で暖かな部屋の方が好きなようでした。
新年会でタイ、ベトナム、台湾の元留学生の挨拶をして254-4.JPGもらいましたが、回線状況がいまいちで少し残念でした。でも、元気さは伝えられたようです。韓国のオさんも仕事と交流活動、昨年帰国したマレーシアのメイさんも、仕事とスポーツに忙しいようで、「日本の皆様によろしく」との事でした。
平塚盲学校に通う留学生の寄宿舎閉鎖時のホームステイで、以前お世話いただいた皆様にまたお願いの連絡。皆さんずっとずっと留学生を見守っていただいていることに感謝。お願いの時ばかり連絡する私達は大反省。
繋がりこそがなにより大切であることを痛感しました。(愛)

 

 


= 業務日誌 =
 12月 7日 理事長、キルギスから帰国。
  12月10日 選挙公報点字版、発送。
12月13日 小林一弘元評議員のお通夜に参列。
12月16日 植草さん来館、キルギス支援について情報交換。
12月20日 『ロータス通信』第253号墨字版発送。
       お互いさまネットワーク月例会に参加。
12月22日 日盲委タイマッサージセミナー報告会に参加。
       フザイファさん、一時帰国。
       筑波附属盲、寄宿舎閉舎、スイェンさん、コンテさん
       来館(?1月7日)
12月24日 今年度留学生、志村教会クリスマスイブに参加。
12月30日 佐々木憲作さん上京、ベトナム留学生と会食。
12月31日 在館留学生、南蔵院・氷川神社で年越し。
1月 1日 マリアさん、来館・宿泊。
1月 3日 在館留学生、弱問研の高尾山初詣でに同行。
1月 5日 在館留学生、授業開始。
1月 9日 板橋視覚障害者福祉協会新年会に出席。
1月10日 留学生、両国の杉山神社を訪問。
1月11日 元職員、松田信治さん来館。
1月17日 筑波大学附属視覚特別支援学校訪問、勉学状況確認。
1月19日 IAVI新年会を開催(於ジュンバタンメラ、42名)。
1月21日 平塚盲学校訪問、勉学状況確認。
      東京カリタスの家、喜多さん来館、留学生に取材。
1月24日 東京米山友愛ロータリークラブ、原田さん来館。
1月27日 卒後鍼灸手技研究会(今年度第6回)を実施。
1月28日 元モンゴル留学生、ニャマフーさん来館。
1月31日 留学生、ユニバーサルアート見学。
2月 2日 広瀬浩二郎さん講演会に参加。
2月 3日 お互いさまネット、防災訓練に参加。
2月7・8日 日盲社協研修会に参加。