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NO.268

発展途上国の視覚障害者の支援活動を
財政的に支えてください

   
                                                                                                            理事長 石渡 博明

 本誌前号では年度の変わり目もあって、留学生の進学や帰国についてご報告させていただきましたが、その後の進展について、続報としていくつかご紹介させていただきます。
 マレーシアのフザイファさんが、ユーチューブを使って日本の視覚障害者に関する様々な情報をビデオで発信していることについては、本誌前号でご本人が報告してくれていましたが、帰国に当たって奥さんサービスとあわせて関西旅行を企画。古都の紹介とともに原爆ドームを取材、被爆体験の語り部の方からは「マレーシアからの留学生も被爆していた」との話しを伺うことができました。彼にとってはまったくの初耳で、ショックと同時に大きな収穫だったはずです。
 モンゴルのツェーネさんも帰国に際してご主人を呼び寄せ、内陸国の人として初めて海に触れるという得難い経験をしてもらうことができましたが、そればかりではなく、日本とモンゴルの架け橋としての仕事にもチャレンジしています。全盲のご主人は学生時代に政治学を専攻、モンゴル第2の都市・エルデネトで市会議員に挑戦しましたが、障害者に議員が務まるわけがないといった誹謗・中傷で残念ながら落選したとのことです。元参議院議員の堀利和さんにお会いし、障害を持ちながらも地方議会を中心に活躍した人びとの手記を堀さんがまとめた『生きざま政治のネットワーク』をモンゴル語に翻訳・点訳・出版して、モンゴルの皆さんに日本の障害者の活動を紹介していきたいと、ご主人ともども張り切っています。
 ベトナムのニャさんについては前号で、帰国後の就労―日本で習得した医療マッサージ技術を母国に還元する場が奪われてしまった旨をお伝えしましたが、彼に日本留学のきっかけを与えてくれた広島の佐々木憲作さんがベトナムを訪問するのに併せて石渡が同行、グエン・ディン・チュウ盲学校に治療室・マッサージ師養成コースを再開してくれるよう陳情することになりました。一度の陳情ですぐに事態が打開されるとはとても思えませんが、これをきっかけにベトナムの視覚障害者の支援を強化していけたらと願っています。
 この他にもご報告したいことは多々ありますが、紙面の都合で割愛させていただきます。それにしても肝心のIAVIの財政は相変わらず火の車です。盲学校入学前の予備研修の経費の一部に文科省から補助金の支援を受けてはいるものの、ODA予算の削減で10年前の半額以下、本部会計からの持ち出しは年々かさむばかりです。
例年通り、会費のお振り込みをお願いしますとともに、一人でも多くの方が発展途上国の視覚障害者支援の活動を支えてくださいますよう、会員拡大を改めてお願いするものです。ネパール大地震、視覚障害者支援にお力をお貸しください。

≪スレス君、困難に負けずに 
ネパールの視覚障害者のために頑張れ!!≫

               (編集局 新井)
ネパールの大地震のニュースを知ったとき、私は、スレス・ラズバンダリ君を思い出した。私たちはスレス君と呼んでいたが、神戸ではバンダリさんと呼ばれていたようです。1996年3月に兵庫県立盲学校を卒業した。前年の1月17日の阪神淡路大震災を盲学校で体験した。幸いに無事であったが、現地での大変厳しい生活を体験した。そんな中でもかれは避難所の体育館で被災者の方にマッサージの奉仕をしたとのことでした。帰国以来このロータス通信点字版も彼に届けられていますが、ほとんど交流のない状況でした。
そんな状況でしたので、ネパールの現地では電話回線も家族の安否確認などで大変だと思い、私の携帯電話に彼の携帯電話の登録があり、すぐ電話できる状態でしたが、3日目に電話をさせてもらいました。はっきり言って、生きているのか、どうなのか、どきどきして電話しました。 
でもすぐに出てくれました。彼の家族や、やはり元留学生のザヌカ・プラサイさんとご家族も無事だったとのことです。ただ、大変な状況だそうで、人生で2回も大きな地震に遭遇するとは考えもしなかったとのことでした。
私は、当時の日本で勉強していた何人かの帰国留学生(タイ、台湾、韓国)に、彼の安否を伝えました。また、元盲学校の先生から、わざわざ心配されて事務所に電話された方もいらっしゃいました。その方に、彼の電話番号をお教えしたら、スレス君から、先生から心配して電話して下さったと、大変励まされたようでした。
ところが、また、2回目の大きな地震がすぐ発生しました。これには、彼も「これからネパールはどうなってしまうのか」と、沈みこんだ声でした。きっとネパールの皆さん全員が大きなショックだったようでした。スレス君からいろいろな情報をいただき、長く支援していきたいことを彼に伝えました。彼も、ネパールの視覚障害者の状況をレポートして伝えることを約束してくれました。
ところが、5月25日に、85歳になられるお父様がお亡くなりになったとの電話がありました。本当に大変な時期に、悲しいことが重なってしまいました。どう励ましてよいかわからない状況ですが、とにかく、少し落ち着いたら、連絡を取り合い、気長に交流していきましょう、ということだけをお伝えしました。
以下に、一貫して継続的な支援活動をされてきた東京ヘレン・ケラー協会の支援依頼を掲載します。どうかよろしくお願いいたします。
今後、スレス君からの情報を継続的にお伝えしていき、長いスパンでの支援を行っていきたいと思います。        
 
≪ネパール支援のための寄付のお願い≫
ネパールは、地震前から毎日計画停電が行われ、カトマンズ盆地内の水道は、給水量の不足から朝夕の2回、各々3? 6時間の時間給水が恒常化しています。しかも、その水道水はそのまま飲むことができない水です。つまり、日本人の感覚でいえば、普段の生活が被災地のような不便な生活なのです。
そのネパールの国土の半分が被災しました(『毎日新聞』4月28日付朝刊)。被害が大きければ大きいほど、その被害の全体像を把握することは困難です。ただ、はっきりいえることは、視覚障害者だけが、視覚障害者が学ぶ統合教育校だけが、被害を免れるということはあり得ないことです。寄宿舎で学ぶ視覚障害児は無事だとしても、彼らの実家が被災していることだって考えられます。自宅から通学している生徒の家が倒壊して、住む家が無いことだって考えられます。また、仮に統合教育校が無事であったとしても、今後の余震に備えて、「耐震補強工事」までは無理としても、それなりの補強工事を行う必要はあるでしょう。
今回の地震は、1934年1月にネパールとインドの国境沿いで、死者・行方不明者1万人以上の犠牲をだした「ビハール・ネパール地震」以来の、81年ぶりの大震災です。なにとぞ、皆様の温かいご支援を差し伸べてください。

当協会の国際協力は、視覚障害者に特化していますが、今回に限り、ネパール盲人福祉協会(NAWB)が行う飲料水や食料、生活物資等の緊急支援には、視覚障害者とその家族、視覚障害者関連施設・学校等の職員とその家族・親族もその対象となる可能性がありますので、その旨、あらかじめご了承ください。

寄付金のご送金は下記口座をご利用ください。
郵便振替口座: 00150?5?91688
(「ネパール地震」と明記してください)
社会福祉法人 東京ヘレン・ケラー協会 海外盲人交流事業事務局
 〒169-0072 東京都新宿区大久保3?14?4
 TEL : 03-3200-1310   FAX : 03-3200-2582
 http://www.thka.jp/ E-mail: XLY06755@nifty.com

≪リハビリテーション関係者に
援護協会の活動を紹介します≫

6月27日?28日にかけて、福島市で第24回視覚障害者リハビリテーション研究発表大会が開催されます。国際視覚障害者援護協会で初めて参加します。日本の視覚障害リハビリテーションに関わる多くのみなさんに、視覚障害留学生の存在と、援護協会の活動を知っていただくことが大きな目標です。
また、日本の視覚リハの成果を、身をもって体得して帰国し、自国の視覚障害者のために活動ができるようにという問題意識を具体化させる目的のためでもあります。帰国した留学生から日本留学の次のような感想をいただきました。これは彼らの今にとって大切に息づいていることで、自国の視覚障害者のための活動に大変役立っていくものと思います。
このような彼らのメッセージをぜひ、多くのリハビリ関係者のみなさんに伝えていきたいと思います。
「日本の視覚リハは、日本人だけではなく、海外の視覚障害者の未来にとっても、大切な成果をあげています。課題として、次の3点を提起していきたいと考えます。
?  日本の視覚リハの成果を、留学生たちと私たちが共に学び共有する。
?  留学生が自国に、自分の体験を発信しフィードバックしていく。
? 今後の広がりとして、発展途上国との双方向の協力体制を構築する。
以下、留学生が、日本生活で学んだ、視覚障害者の自立にとって大切なことのいくつかを紹介します。

◎ガイドヘルパーの大切さ◎    
                                    ダムディンツェレン。ニャマフー(モンゴル)
日本で、鍼・灸と按摩マッサージを学びました。鍼・灸とあんま、マッサージの勉強をすることがきっかけで、日本語もできるようになり、日本人の友達も沢山できたことに大変うれしいのです。
初めて沖縄で研修したときに、あんま・マッサージというものを本当に初めて知ることができたが、鍼・灸とあんまマッサージを3年間本格的に現地の言葉で、苦しいと楽しい交互に感じながら学んだことが、現在自信を持って社会で、働けることができました。日本語も勉強したことも、いろいろな場面で役に立ち、日本からのお客さんやお友達などと一緒に母国を観光したりして、人間関係も沢山増えました。
モンゴルではまだまだ不足である、日本の福祉が本当に良かったです。
例えば、いろいろあったけど、一番良かったのはガイドヘルパー。ガイドヘルパーがいるから、視覚障害者が外出楽しいのです。
もう一つは、日本のバスはアナウンスが出るから、一人でも外出が問題はありません。私は、視覚障害者の外出することができていれば、勉強や仕事、すきなことなどがいつでもできるのだ。とにかく外に出かけることが大事だと思うのです。

◎電車の誘導サービスの意味◎  
                                   タン・リー・メイ(マレーシア) 
?日本で習った鍼、解剖学、生理学等を深く勉強したことは、マレーシアではできないことであった。
?東京の便利さ、視覚障害者にとって使いやすい電車や、各種サービスを体験できたこと。特に電車の誘導サービスはそれを利用すればどこにでも行けるので、視覚障害者には大変素晴らしいことだと思う。
また、銀行のATMシステムは良いと思う。マレーシアでは視覚障害者だからというので、カードを渡されないし、使用ができないので、大変に困っています。
?日本でたくさんの人間関係を形成することができた。その人たちを通していろいろなところを訪問できた。
(二人とも2012年3月、筑波大学附属視覚特別支援学校卒業、帰国)

◎理療の勉強のために、私からの二つの提案◎
謝 瑛昌 (台北市立啓明盲学校教師)
台湾では、理療科の教員養成という課程もないし、理療の研究会などもない。中華視障経穴按摩推広協会でも教えていますが、そのときは、日本の資料を使います。日本の皆さんの力をお借りして、勉強するための具体的な2つのことを考えてみました。
?Skypeでの勉強
台湾で理療の勉強をしたいという方を複数集めて、日本の理療の先生に、理療の勉強を週に一度か、2週に一度お願いしたい。対象は理療の仕事に携わる人で、先生やマッサージ事業者です。私が通訳をします。
?日本から先生を招き講義を開催
按摩・マッサージの職業協会と話して少なくても年1回3から4日の勉強会を企画して、日本から理療の先生に講義に来ていただく。費用は、協会や、参加者お付き合いをお願いします≫が負担する、ということも考えています。

≪元留学生との勉強に お付き合いをお願いします

盲学校の理療科で勉強して帰国した留学生の中から、最近の日本の盲学校での理療科の勉強内容について、勉強したいという声が上がっています。これは、時間の経過とともに増えていくものと考えられます。
台湾からは上記のような提案があります。この声にきちんと対応していくためには、かなり組織的に準備をして、しっかりとした計画が不可欠です。そのようなシステムができたら、素晴らしいことだと思います。
そのための準備の活動として、インターネットを活用した無料の通話のSkypeを利用して、試していきたいと思います。

一応、以下のような方にお願いします。かれらはとにかく日本の理療を勉強された方と、お話しをしたいと言うのが本心かとおもいます。
?理療の勉強をされた方
? Skypeの活用が可能である方
? 時間が1時間程度取れる方
初めに留学生と新井と3人でお話しをして、自己紹介をしあってど
のように勉強ができるのかを検討し、5回程度の勉強会を計画したいと思います。
今対象となっている元留学生は、2人です。現役で教師をしている方です。日本語は時間の経過を感じさせないほどできますし、最近はボランティアの方にお願いしてSkypeで日本語を話していました。
また、パソコンで日本のテキストデータが読めるように、日本語のスクリーンリーダーが入ったパソコンも送り、それが使えるよう操作の練習もチャレンジしました。台湾の方には、日本の盲学校で使っている点字教科書も送っております。
すべてボランティアと言うことですが、やってもよいとお考えの方、どうか援護協会まで御連絡をお願いします。


≪キルギスの全盲歌手の夢
実現に向けて!≫
               
 
 「キヤル基金」代表 松田信治
「私に日本の歌をカラオケと本人が歌っているものを貰えませんか?」と一人の全盲のキルギス人女性から話があったのは、私がキルギスにJICAシニア海外ボランティアで赴任して3か月目。その女性が今回のイベント「日本とキルギス友好チャリティコンサート」のキルギスから招く「グルムさん」その人です。
私は早速、自分のパソコンの中に入っている日本の歌謡曲を探し、見つけたのが中島みゆきの「地上の星」と「ヘッドライトテールライト」の2曲でした。それをグルムさんに渡し、待つこと1か月。「松田さん、聴いてみてください」と彼女のアパートに招かれ、聴いた時、正直、度胆を抜かれました。「完璧!何も修正するところなし!」が正直な感想でした。歌詞を点字で打ち直し、その歌詞を指で触りながら歌っていましたが、まずは彼女の天性と思える、その澄んだ歌声に私は魅了されました。それからグルムさんは、どんどん私が渡す日本の歌謡曲を歌いこなして行きました。「天城越え」「愛燦燦」「涙そうそう」とレパートリーはどんどん増えて行きました。
そんな彼女の夢が「日本の舞台で日本の歌を歌いたい!」です。私は帰国した2013年1月以降、彼女の夢実現に向けて、いろいろ動いてきました。そして彼女に歌ってほしいと、伴走仲間の作詞家のエリさんから「草原の鍵」というオリジナル曲もいただき、レコーディングも行いました。
一方、私の友人でテイチクの演歌歌手の三田りょうさんが「風の旅人」というキルギスと日本の友好曲を歌っておられ、このお二人のジョイントコンサートを日本で開催できれば、グルムさんの夢も叶うと思いました。そこで仕掛けたのがクラウドファンディングという新しい資金集めの方法です。
グルムさんを日本に招く渡航費、滞在費、会場費など合わせて100万円を集めます。開催するイベントの概要は下記です。
・・・・・・・・・・・・・
「日本とキルギス友好チャリティコンサート」
日時:2015年12月27日 PM2:00?4:00
場所:品川区「きゅりあん」小ホール
入場券:前売り 1,500円 当日券 2,000円
?募金期間 2015年6月15日?8月5日
?募金方法 (2通りあります)
・「クラウドファンディング」による募金
インターネットで「READYFOR」の「日本とキルギス友好チャリティコンサート」からクレジットカードで申し込み。
・口座への振込による募金
「ゆうちょ銀行」へ振込をお願いいたします。
募金される方、私までご一報ください。(携帯電話:09096437156 
又はメール:matsu.shin@pep.ne.jp
?募金者への御礼プレゼント
3,000円?100,000円までの5種類の募金額に対して様々なプレゼントを募金者に郵送いたします。

皆様、グルムさんの夢実現に向けて募金にご協力お願いします!
=業務日誌=
4月 1日 ツェーネさんご主人来日、宿泊(?4月20日)。
4月 5日 コンテさん、ソンさん、マンダハさん、筑波技術大学
寄宿舎オリエンテーション。
  4月 9日 アクモールさん、筑波付属盲入舎式。
4月 8日 アクモールさん、筑波附属盲入学式。 
      フザイファさん、御茶ノ水UD研究会で発表。
4月13日 文科省へ報告書送付。
      ツェーネさん夫妻、元参議院議員・堀利和さんと懇談。
4月14日 日本語講師総括会議。「生命のことづけ」打合せ会。
4月16日 『ロータス通信』第267号発送作業。
4月17日 ツェーネさん夫妻、板橋区国際交流課を訪問。
4月19日 佐々木憲作さん上京、巣鴨で懇親会を開催。
 4月20日 ツェーネさん夫妻、モンゴルへ帰国。
 4月25日 フザイファさん夫妻、マレーシアへ帰国。
 4月26日 卒後鍼灸手技研究会の事務、撮影を担当。
 5月 2日 筑波盲の留学生4名、来館・宿泊(?5月6日)。
 5月 8日 スイエンさん、ベトナムへ帰国。
 5月11日 理事会・評議員会へ向け、監査実施。
 5月15日 筑波附属盲インドプロジェクト関係者来館、懇談。
H26年度決算理事会・評議員会。その後、懇親会。
 5月23日 バングラデシュのロイさん、アキレスで発表。
 5月31日 卒後鍼灸手技研究会の事務、撮影を担当。
 6月 3日 小井土恵子さん、初出勤。