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No.282

ロータス通信282号 2017年10月20日発行

新留学生が来日しました!
 IAVI関係者のチャレンジも、さまざまに広がってきています。

                                         理事長 石渡 博明
 

10月2日朝、今年度の新留学生ミャンマーのリンさん(Thein Kyaw Linn)さんが、待望の日本の土を踏みました。また、1日の晩には一足早く、通訳の頼さんと共に日本語学習の聴講生として台湾のシズさん(蔡靜如)も舟橋記念会館に腰を落ち着けました。シズ(静)さんは、地域的に台湾ということで文科省の補助金の対象外であることからIAVIの留学生になることができませんでしたが、目的意識がはっきりしているため、IAVIとしてもしっかりとサポートしていくことになったものです。シズさんは台湾のマッサージ師免許をお持ちですが、実際に治療の現場に出ると分からないことばかりで、日本の体系的な三療教育を一から学び取りたいとIAVIに打診してきたものです。
 尚、シズさんの日本語学習を支援してくれた元留学生の謝瑛昌さんは、これまでも本誌上でご紹介してきました「一枝のゆめ財団」から講師をお招きして台湾で日本式マッサージのセミナーを企画中とのことです(3?6ページに詳報)。
 因みに、ミャンマーのリンさんに来日前の日本語を指導してくれた先生の一人が、筑波盲の元留学生トゥントゥンラインさんで、治療院を念願の地上1階に移設し、日本での学習成果を生かして頑張っています。また、トゥントゥンさんの奥さんは、ミャンマー盲人協会で点字印刷のスタッフとして頑張っており、夫婦ともどもミャンマーの視覚障害者の先達として、若い人のモデルになるような活躍をしています。
 一方、マレーシアのアズリンさん、モンゴルのニャマフーさんが9月に来日、筑波技術大学の大学院を受験、二人そろって見事合格し、来年4月から晴れて大学院修士課程で研究に励むことになりました。
 こうした動きとも多少は連動しつつ、この9月末に、公益信託東京日本橋ライオンズクラブ立川福祉基金の助成を受けて、『白い杖の留学生』の第2弾として「ミャンマー編」を作成しました(7ページに詳報)ので、ぜひともお手にとってご覧くださり、また関係者・関係機関・お知り合いの方、等々にご紹介、ご活用いただければ幸いです。
 また、IAVIが事務を受託しています、日本で唯一、視覚障害者にも開かれた三療の勉強会、卒後鍼灸手技研究会の記録DVDと点字資料を「地の塩基金」を活用して、研究会の開催時毎に、とりあえず帰国留学生の拠点9ヶ所に送ることにしました。帰国留学生からは、これで帰国後も三療の勉強が継続してできる、自分たちだけで使うのはもったいないから、母国語の翻訳にチャレンジして、他の視覚障害者の皆さんにも活用してもらいたい、と前向きな反応が寄せられています。
相変わらず微々たる支援ですが、今後とも帰国留学生と連携して、発展途上諸国の視覚障害者の福祉向上・権利向上に貢献できたらと考えています。



≪ 来年の3月に台湾でセミナーを開催したい ―25年の経験を基に― ≫   

                                          謝 瑛昌(シェ・インチャン)

 〇はじめに

 こんにちは私は台湾の謝です。
 1987年3月16日にICB(IAVIの前身)の留学生として山梨県立盲学校で按摩・マッサージ、鍼、灸の勉強をしました。最初の一年目は日本語が良く話せないので、普通科の学生と一緒に勉強しました。それから専攻科で三療の勉強をして、三療の免許を取った後、8ヶ月くらい、東京都江東区の治療院で研修をしました。それから91年11月に台湾に帰って、92年2月から台北盲学校の先生になって、その時からずっと25年間、こちらでは台北市立啓明学校で、保健理療科の先生としてあんま・マッサージの実習と、解剖学・経穴概論・病理学等、関係の学科を教えてきました。
 視覚障害者にとって大変重要な仕事台湾では、仕事についている視覚障害者の70パーセント(確実な数字ではないのですが)、視覚障害者の大部分は按摩・マッサージの仕事についています。按摩・マッサージの仕事というのは、視力の制限がなくて、自分でもうまくできるから、別の仕事と比べると良い給料がもらえるし、仕事の環境も非常に良いですから、大部分の視覚障害者はマッサージの仕事をしています。
今、按摩・マッサージの仕事をしている視覚障害者は、二つのタイプがあります。
 一つはマッサージセンターに行って経営者に雇われて10分100元というタイプでやっています。按摩士の方が70パーセント、経営者が30パーセントで、今のところ私の教え子達は、台北で仕事をしているのは、かなり良い収入をもらいます。5万元、日本円にしますと20万円の給料をもらえる人が、結構います。今台湾で大学を卒業した学生の初任給は28000元から32000元ぐらいですね。一方、マッサージ師の彼らは中学、高校を卒業して5万元・6万元、多い場合は7万元ももらう人が多いのです。
 もう一つの就職のタイプは企業に雇われて、給料、今大体21000元くらいですけど、台湾の法律で視覚障害者雇用の法律があり、雇用数が足りないと政府から罰金が課せられるから、ここ10年くらい企業の経営者も視覚障害者を雇って会社で従業員達の健康のためとか、ストレスを解消するとかという形で、従業員達に按摩・マッサージをしています。大体、週に1回か2回行って1回4時間ぐらいで、1ヶ月30時間で21000元ぐらいの給料がもらえます。二つの会社に雇用されている人もいます。ですから月5万元もらえますね。
 このように台湾では、視覚障害者の仕事としてあんま・マッサージの仕事は高く位置づけられ、みんなこの仕事で、自分で稼いで生活をしています。

 〇日本との深いつながり

 台湾のマッサージは日本と密接な関係を持っています。
 1917年、中華民国6年、当時台湾は日本に統治されていますので、日本の木村謹吾先生は軍医として台湾に来られています。彼のお父さんも視覚障害者で、お父さんは按摩・マッサージ・はり・灸の仕事について、自分の力で9人兄弟を育てたのです。そこで木村先生は、台湾の視覚障害者は何もすることがない、占い師をしたり、家で家族に守られているということですから、台湾の視覚障害者もマッサージ、はり、灸を勉強させて、自分の力で生活できるという発想が出てきて、日本から按摩・マッサージの先生を連れてきて、本校の前身の台北盲唖学校、視覚障害者と聴覚障害者が一緒になっている学校を作りました。
 それから台湾の視覚障害者がマッサージと鍼、灸を勉強して自分の力で生活できるようになりました。今までちょうど100年くらいになります。今年の12月も、本校啓明学校の創立100周年記念のイベントもやります。

 〇台湾のマッサージのレベルアップこそ大切 ぜひ、台湾でセミナーを開催したい

 今のところ台湾のマッサージは日本と違って、マッサージ教育は台北啓明学校と台中啓明学校、あと二つの重建院(中途失明者の職業訓練機関ですが)でやっています。ですから按摩、マッサージの先生の育成の施設がなくて、医療的にマッサージを入れる、あるいは反対に言えば、マッサージはもっと積極的に色々病気とか、不快の解消をするのがなかなか難しいです。ですから盲学校の先生とか、重建院とかで教えている先生達に、もっと勉強してもらって、理論面でも、技術の面でも、もっと力をつけてもらっていけば、台湾の按摩、マッサージも、うまくなるのではという考えを持っているのです。
 IAVIの新井さんと筑波技術大学の藤井先生と親しくお付き合いさせていただいていますが、無理というか、皆さんに色々ご迷惑をおかけしますが、藤井先生も非常に熱心でなんとか台湾のマッサージをもっと強くさせていくというありがたい思いをお持ちですので、できたら日本の先生に台湾にいらしていただき、マッサージを教えている先生、マッサージに従事している人たちに、マッサージに関する、たとえば技術の面とか、理論の面とか勉強させて、台湾のマッサージを強くするというか、レベルを高めるとか、そのような希望をもっています。多くの日本の皆様方のお力をお借りして、ぜひ台湾でのセミナーを開催したいと思っております。
                           (これは、謝さんから頂いた音声メッセージを、編集局で書き起こしたものです。)
 

≪来日して3日、自己紹介の勉強をしました≫  

★私の名前はテイン・チョウ・リンです。

 私は19才です。ミャンマーから来ました。ヤンゴンに住んでいました。家族は5人です。両親と兄弟は二人います。
両親の仕事は農業です。お米を作ります。兄弟は二人いますから、一人は学生ですけれども、もう一人は赤ちゃんです。私の趣味は色々な本を読むことです。日本に来た目的は、鍼、灸を勉強したいです。どうぞよろしくお願いいたします。

★私の名前は蔡静如(ツァイ・チン・ル)です。    

 日本語ではシズと呼んでください。台湾から来ました。台中に住んでいます。家族は4人です。父と母と兄です。父と母の仕事はマッサージです。兄の仕事は会社員です。私の趣味は中国語の歴史の小説を読むことです。日本語を勉強するために日本に来ました。皆さんどうぞよろしくお願いします。
    (この文章は、自分で書いた点字を二人に読んでもらい、編集局で聞き取って、書き起こしたものです。点字もなかなかの早さでした。)

 

≪『白い杖の留学生?ミャンマー編』を発行しました≫

 昨年度、『白い杖の留学生?キルギス編』を発行しましたが、今年度は、その「ミャンマー編」を作成しました。ミャンマーのこと、留学生の思い、視覚障害者の仕事のこと、そして身近なミャンマーについて取り上げてみました。写真もたくさん、わかりやすい内容です。是非ご一読ください。郵送代のみご負担願います。また、テキストデータ版もご用意します。下記の要領でお申し込みください。
ご希望の方は該当する金額の切手を事務局までお送りください

    郵送料:1冊→140円、2冊→180円、3冊→205円 
        なお、テキスト版CD→120円。


≪一枝のゆめ財団を応援します≫ 「一枝のゆめクラブ会員」の募集と寄付のお願いをしています。

 「三療」の仕事に元気な風を吹かせるために、色々な活動を開始しました。また、IAVI留学生の盲学校卒業後の技術研修なども、積極的に考えてくれています。今後少しずつ活動紹介などをお伝えしますが、今回は、設立趣意書、財団の治療院等をご紹介します

 ・設立趣意書
  「三療」は、あん摩(マッサージ・指圧を含みます)、はり、きゅうを一括りにした言葉です。これらの業は江戸期の社会に根を下ろして以来、地域の医療を支えながら世界に類のない職業文化を築き上げてきました。 現在、これらの業を行う施術所は全国で8万5000ヵ所(コンビニ店舗の 1.7倍)を超え、そこで働く施術者 (国家免許者)は十数万人にのぼります。三療がこれほどの隆盛を極めることができたのは、地域の身近な医療としての価値が広く民間に認められてきたからにほかなりません。そして、その誇りが業を行う人々の糧となり市場を拓く原動力になりました。 ところが、この市場では免許を得ずにあん摩などの手技を行う違法な業者が依然、あとを絶ちません。その影響を受けて、近年、経営難に陥る業者が続出するようになりました。とくに、患者宅への移動や保険事務に困難をきたす視覚障害者の経営状況は深刻で、2016年末の調査によりますと、年収130万円以下の業者が半数を占めるまでになりました。このままでは、三療の職業としての魅力は薄れ、やがては日本の風土が育んだ貴重な職業文化が廃れ
てしまいかねません。 そこで、この度、これらの業に活力を与え三療の伝統・文化を未来につなぐ活動の拠点づくりが急務と考え、「一般財団法人 一枝(ひとえだ)のゆめ財団」を立ち上げることといたしました。
 この拠点施設(仮称、三療プラザ館)はクリニック、施術所、就労継続支援施設を備え、三療に関する研修、臨床研究を推進するほか、就学・就労・経営などの相談業務や医療・福祉用具の展示・販売事業を通して、国内外に三療の夢と魅力を発信します。また、シンクタンク(三療社会学研究所)を併設し、業全般の課題を扱うとともに関連の資料センターとしての機能を担います。
 超高齢社会の到来で国は、包括的なケアシステムを地域ごとに作ったり高齢者の健康寿命を延ばしたりするための様々な取り組みを打ち出しています。その先には、障害の有無や世代を超えて、多様な人々が支え合いながら共生する活力に満ちた社会があるはずです。私たちが描く「ゆめ」は、この近未来へ広がる三療の希望の光にほかなりません。
  「ゆめ」に一枝のゆめつけた「一枝(ひとえだ)」は、聖武天皇が大仏の造営にあたり「一枝(ひとえだ)の草、一(ひと) すくいの土でも」と庶民に寄進を呼びかけたときの古事に因んだものです。みんなの願いを、みんなの心で実現したい。そんな、いにしえの息吹にあやかり財団名の冠としました。以上の趣旨をご理解いただき、皆さま方のご支援を心よりお願い申し上げる次第です。
  詳しくは以下のHPをご覧ください。
  http://hitoedanoyume.or.jp/index.html
       

≪一枝のゆめ治療院≫
   30分:2000円 「ポイントマッサージ」
   60分:4000円 「全身マッサージ」
   初めて来店の方は上記の半額
   受付時間:午前10時?午後6時  定休日:日・祝祭日
 ★国家免許を持つ施術者が対応します。
 ★現役大学教授の特別な治療を受けることができますので、お問い合わせください。
 赤羽駅東口から徒歩5分 財団事務局と同じところです。(IAVIの事務所からバス利用で、15分で行けます)

◎一枝のゆめ財団お問い合わせ◎
 TEL・FAX:03-6310-5172
 住所:〒115-0045 東京都北区赤羽2-45-8 ファーストビル赤羽205号室

≪この秋冬のイベントのご案内≫ ―是非ともお手伝いをお願いいします―

 最近、視覚障害者のホームからの転落死亡事故が多く発生しています。本当に悲しいことですし、二度と起こさないようにとの多くの人たちの願いにもかかわらず、何度も繰り返されます。これをなくすには、本当にすべての人たちの力の発揮しかありません。私たちは、「あなたのひと声が目の見えない人の命を救います」というチラシをたくさんの方に配布して、視覚障害者の安全な歩行への理解を広げていきたいと思います。
 多くの留学生が「日本の点字ブロックは素晴らしい」という発言をします。彼らの歩行にとっても大切なものですが、その点字ブロックの上に、物が置いてあることが多くあります。そして、それが大変危険な状況を作り出しています。私たちは、日本発の点字ブロックが、安心の道しるべであり続けるために、「点字ブロックの上に物を置かないで」と言うシールを多くのみなさんに手渡したいと思います。
 そして、白い杖の留学生達も、安心してたくさん外出して、有意義な留学生活が送れるようにしていきたいと思います。以下のイベントでは、IAVIの活動紹介や、留学生の国にちなんだものの販売をしながら、以上のような提起もしていきたいと思います。なお、お手伝いして頂ける方、遊びに来ていただける方は事務局までご連絡ください。

 ? 神保町ブックフェスタ
  11月3日(金祝日)?5日(日)の3日間
  10時?16時 神保町交差点
 ? 板橋区障害者週間イベント
  12月2日(土)?4日(日)
  10時から17時  いたばしグリーンホール
 

≪元気で頑張っています≫
               サヌッティ・マリア・ゴレティ(インドネシア) 

 スマトラ島の北の方で、教会関係の施設でマッサージの先生として、毎日、午前は9時半から12時半まで、午後は4時から6時まで、視覚障害者に指圧を教えています。生徒は、高校を卒業して1年くらい、大学に行かない人たちで、そういう人たちに教えています。 
 指圧を教えてお金を少しいただいています。バンドンに住んでいたときはアパートを借りていましたが、今は施設の寄宿舎で生活していますので、何とか生活できています。
 スマトラ島の視覚障害者で、来年か再来年、日本でマッサージ・指圧を勉強してもらいたい人がいます。今年高校を卒業する女性です。よろしくお願いします。
  (LINEの映像には、施設の食堂で食事を終えて勉強している数人が写し出されていました。)
                                              (2013年3月 神奈川県立平塚盲学校卒業)

= 業務日誌 =

8月 1日 庄さん、志村第3小学校(アイキッズ)に出前講座下見。
8月 3日 松田さん来館、卒後事務。
8月 4日 選挙プロジェクト研修会参加。
8月 7日 チティズ・ギミレさん夫妻来館、情報交換・宿泊。
8月12日 アルタンさん来館、バヤルさんと交歓。
8月13日 バヤルさん帰国(成田空港)、介助。
8月14日 事務局夏休み(?18日)。
      リンさんの在留資格認定証明書、東京入管に申請。
8月15日 庄さん、中台小学校(アイキッズ)に出前講座。
8月17日 『ロータス通信』281号発送作業。
      おたがいさまネットワーク月例会に参加。
8月21日 庄さん、上板橋小学校(アイキッズ)に出前講座。
山崎さん来館、声楽練習。
8月23日 『白い杖の留学生?ミャンマー編』、編集会議。
8月25日 コーコーさん出迎え(成田空港)、介助。
8月26日 藤井先生と台湾支援(マッサージセミナー)打合わせ。
9月 3日 シリンさん、ラグワさん(成田空港)、ミンラインさん
      (羽田空港)出迎え、介助。ツェーネさん移動、介助。
9月11日 新留学生受け入れに向けて、日本語講師会議。
9月18日 全視協50周年記念レセプションに出席。
9月19日 リンさん・蔡さん、在留資格認定証明書受け取り(入管)。
9月21日 ノジマさん来館、日本語授業見学打ち合わせ。
9月22日 アズリンさん・ニャマフーさん、来日。
9月23日 アズリンさん・ニャマフーさん、筑波技大大学院受験。
      ニャマフーさん、埼玉盲の先生方と懇親会。
9月25日 アズリンさん、東洋療法研修試験財団訪問。介助。
      新留学生受け入れに向けて寮母さん打ち合わせ・掃除。
9月26日 庄さん、志村第3小学校(アイキッズ)に出前講座。
9月27日 バヤルさん、帰国。アズリンさん、帰国。
『白い杖の留学生?ミャンマー編』納品。
石渡、ミャンマーへ出張(入国介助)。
9月29日 筑波技大大学院結果発表(アズリン・ニャマフー合格)。
10月1日 蔡さん(台湾)入国。ニャマフーさん帰国。
10月2日 リンさん(ミャンマー)来日。選挙プロジェクト参加。
リンさん・蔡さん、板橋区役所事務。東野眼科受診。
10月5日 リンさん、筑波附属盲で教育相談。